「同質化からの脱却」

英国のロイヤルカレッジオブアート(RCA)は、修士号・博士号を授与できる世界で唯一の美術系大学院大学があります。世界大学ランキングででは、「アート・デザイン分野」で第1位に選出されています。卒業生では、家電のダイソン社の創業者であるジェームス・ダイソンは、このRCAでプロダクトデザインの卒業生です。

このRCAがエグゼクティブ向けにプログラムを用意し、フォード社、クレジットのVISA社といったグローバル企業が、幹部候補を参加させている。

伝統的なビジネススクールへのMBA出願数が減少傾向にある一方で、アートデザイン系のエグゼクティブトレーニングに多くのグローバル企業が幹部を送り始めているようだ。これからの経営幹部は、論理的・理性的スキルに加えて、直感的・感性的スキルの獲得を期待される。これは、これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸を置いた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のような複雑で不安定な世界ではビジネスの舵取りをすることはできないと論じられている。

多くの人が分析的・論理的な情報処理のスキルを身につけたことにより、「他人と同じ正解を出す」ということで、必然的に「差別化の消失」「同質化の推進」という問題を招くことになる。これからは消費者の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が求められる。すなわちすべての消費ビジネスが自分らしい生き方を実現したいファッション化しつつある中、このような世界では企業やリーダーの「美意識」の水準が企業の競争力を大きく左右するであろう。

まさにファツション業界も同質化の呪縛から解かれ、新しい美意識の発信を期待したい時期に来ている。

文/島崎淳 (Jun Shimazaki)

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