アパレルブランドを立ち上げるには?ブランド経営に必須の3つの視点

- アパレル業界ニュース -
2015年07月28日

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ファッション業界で、しばしば耳にする新規ブランド立ち上げのニュース。姉妹ブランドや既存のコンセプトとは異なるブランドなど、新規にアパレルブランドをおこすにあたり必要なことを見ていきましょう。

整った、管理体制

新規のアパレルブランド立ち上げとは、単に新商品を発売するということではありません。統一されたコンセプトのもとに作られたさまざまな製品を市場に流通させることと言って良いでしょう。当然ながら、商品の流通に伴うさまざまな管理業務が生じます。最も重要なものが、売上の管理。日々の売上の推移を把握することで、今後、どのような商品を展開していけばよいのかという戦略やどのように販売していけば良いのかという戦略へ反映させる必要があるからです。また、店舗を借りて自社ブランドを展開する場合には、店舗のリース代や光熱費など諸経費がかかります。また、従業員を雇う場合には、給料を支払わなければなりません。店舗運営に伴うこれらの経費を支払う上でも、売上を計上し、把握しておく必要があります。

次に、商品の管理を行うことも重要です。具体的には、お客様のニーズに合わせて商品を迅速に提供することができるよう、商品の在庫管理を行ったり、商品の回転率について把握する必要があります。商品の回転率を把握することは、売上の管理同様に、今後の販売戦略を練ったり、新しい商品を展開する際に重要です。

最後に、顧客情報の管理を行うことも大切です。商品を購入してくださったり、ご来店くださったお客様を、ファンとして囲い込むため、あるいはブランドイメージの浸透度などを調査するためには、顧客情報の入手や利用が不可欠です。一方で、顧客情報が流出してしまうと、ブランドイメージや信用を失うことになりかねません。慎重な取り扱いが必要です。

そして、ブランドの成否のカギを握るこのようなデータを活用するために、システムの導入を行うなど、運用体制も整える必要があるでしょう。

お客様目線の販売体制

一方で考えなければならないのが、販売体制の確立です。

まずは、さまざまな施策を行い、より多くの人にあらたなブランドを知ってもらう必要があります。例えば、ショップをオープンする街でチラシを配布したり、公式ウェブサイトやブログ、SNSを立ち上げるなどして、自社ブランドを不特定多数の方にアピールします。オンラインショップを立ち上げるだけでなく、すでにある程度の顧客が集まっている通販サイトなどで出品したり、ポータルサイトのネット広告を展開するなどして、認知度を高めていきます。

次に、売れるショップ作りはどのようなものかという点について考え、それを実際にショップに反映させていく必要があります。商品や対象顧客に合わせて、什器を準備したり、ショップの内装やレイアウト、ディスプレイを形作ります。さらに、お客様の導線を考えて、ショッピングがしやすいお店づくりについて考えなければなりません。見やすく、手に取りやすく、買いやすい、そんなショップを、実店舗でもオンラインストアでも行っていく必要があります。

もちろん忘れてはいけない採用

新たにブランドを立ち上げたら、従業員を採用する必要があります。直営ショップのスタッフであれば、ブランドの顔とも言える存在であるため、ブランドコンセプトにあった人材を確保する必要がありますし、笑顔で接客を行うことができる人材が必要です。また、ブランドについて正しく伝えることのできるコミュニケーション能力に長けた人材でなければなりません。ほかにも、バイヤーやMD、プレスといった人材も必要です。すべて新規に採用する人ばかりではなく、たとえば、既にブランドを数個もつ会社の中に新たにブランドを立ち上げる場合などは、既存ブランドからのスタッフがやってきます。そういった場合、チームワークや教育が必要となってきます。

ブランドが受け入れられる喜び

新ブランドの立ち上げは、言ってみれば新規事業であり、それなりの規模のプロジェクトです。そのため、ここまでみてきたように少なくないコストがかかります。一方で、ネットの普及で誰でもオンラインショップという販売チャネルを持つことが可能になっています。そこで、リスクヘッジのため、まずはネット上で新たにブランド展開することから始めるのも、現実的な方法です。言ってみれば、試験販売です。その結果をリアル店舗に広げて成功の確率を高めるのもひとつの方法です。大変な仕事ですが、ゼロからブランドを立ち上げて、それが受け入れられていくのは何にも代えがたい喜びです。ぜひ携わってみたい仕事ですね。