「ファッションテック」の活用

- コンサルタントの独り言 -
2018年07月02日

先日、雑誌の特集で「ファッションテック」が話題に、意味はファツションとテクノロジーを合わせた造語である。アパレルにAI活用で生産性向上に貢献する事例が出てきている。

国内アパレル市場は長らく低迷し、1990年前後で約15兆円あった市場は10兆円と3分の2に縮小。一方、供給量は20億枚から40億枚に倍増している。よって衣料品の購買単価は6割に低下している。大手アパレルの業績は営業利益率は一桁台前半で売り上げ維持しながらいかに生産効率を上げ粗利益を出すかが重点課題になっている。事業環境としては生産量の4割が売れ残り、消費者はセールになるまで買い控えることが、利益減少につながっている、需要予測を誤り、生産リードタイムが長いことが不良在庫の原因となっている。この問題を解決するのがファッションテックで期待されている「マスカスタマイゼーション」の取り組みである。これは消費者一人一人の好みや体形に合った1点物の商品を、大量生産と同様の低コストで生産するシステムである。それがスタートトゥデイが昨年11月から始めたプライベートブランド「ZOZO」。ユーザーは、体の自動採寸を行い、個々人にフィットした服を購入する。すでに予約が100万件突破。また米オリジナル社はインターネットでオーダーシャツを販売。ユーザーは生地、柄、デザインなど10億通りの組み合わせから選び、5分で注文し10日で届き、1着4980円からと買いやすい価格で特徴は無料アプリで採寸し手間を取らせない。このようにAIによる精度の高い需要予測や受注に応じて生産するマスカスタマイゼーションは不良在庫の減少、生産コストの減により利益率の向上につながる救世主となる可能性を秘めている。このファツションテックに乗り遅れた企業はより厳しさを受けると思う。

文/島崎淳 (Jun Shimazaki)