「見えぬ道筋」

- コンサルタントの独り言 -
2020年06月01日

5月26日に三陽商会株主総会で「物言う株主」による経営陣の刷新案が否決さ
れ、会社側の再建案が承認された。といってもリストラ策が中心のため、成長
戦略に向けた打ち手策は不十分のようである。先日法的整理に入ったレナウン
などアパレル業界を取り巻く環境は厳しく再建の行方は見通せない。
一方、ソニーが60年ぶりに社名変更し、2021年よりソニーグループになる。趣
旨は、一つは、エレキ頼みからの脱却。ヒット商品の有無で大きくぶれる収益
体質の改善に着手。新型コロナにより21年のエレキの営業利益は5~7割ダウ
ンの予定だがグループ全体の減益幅は3割ダウンに止まる。これはソフトのゲ
ーム、音楽でカバー。二つ目は持ち株会社体制でぶれないためのソフトとハー
ド事業の企業理念、ビジョンづくり。三つ目は分社化。経営の独立性やスピー
ド感を高める。
このように電気、半導体以外に金融、ゲーム、映画、音楽事業の多様な事業構
成は電気だけではグローバルでの大きな成長が見込めないという創業者の理念
を継承している。話は戻るが三陽商会も4期連続赤字から新たな経営陣での経
営刷新を期待したが、130億の現預金を活用し成長戦略に向けソニーグループ
のような多様性、分社化に向けた成長戦略に期待したい。

文/島崎淳 (Jun Shimazaki)