素材の知識(繊維の種類)Ⅲ

- アパレル業界ニュース -
2017年01月17日

今までは、植物繊維、動物繊維という、天然素材から作られる繊維についてご説明をしてきました。

今回は、化学繊維についてご説明をしたいと思います。

化学繊維の登場により、ファッションの幅が大きく広がりました。

そして、天然素材に似せた繊維を作ることで、安価な繊維を大量に作ることができるようになりました。また、天然繊維だけでは表現できなかった伸縮性やドレープ性など多様な表現ができるようになりました。

化学繊維は日々改良され、多くの種類の繊維がありますが、今回は一般的な素材を見ていきましょう。

 

【化学繊維】

化学繊維は再生繊維、半合成繊維、合成繊維の3つがあります。これらは人工的に作られた繊維です。それでは、再生繊維から詳しくみていきましょう。

 

 

・再生繊維

レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨンセルがあります。

 

レーヨン・・・原料の木材パルプから絹の外観に似せて人工的につくった繊維でレーヨン、ビスコースレーヨンといいます。フランス語で「光線」という意味。

主成分が綿などのセルロースと同じなため、土に埋めると分解・消滅してしまいます。レーヨンは、吸湿性が綿よりもよく、独自の光沢とドレープ性があるのが特徴です。

 

・ポリノジック・・・レーヨンと同じ木材パルプから作られた繊維です。絹に近い光沢があるので、ポリノジックを使った衣類からは高級感がにじみでます。ドレープ性に優れているのも特徴です。それに加えて弾力性も優れているので、着心地が良いという強みもあります。また、熱に強く、耐アルカリ性という性質もあるため、丈夫な素材であるといえます。色落ちしにくく、親水性なので油汚れがすぐ落ちます。レーヨンよりは水に強いのですが、水洗いした場合は縮みや型崩れするというデメリットがあります。

 

・キュプラ・・・化学繊維の中でも早く誕生した銅アンモニア法レーヨンとも呼ばれるセルロース繊維(再生繊維)です。1856年にセルロース(繊維素)が酸化銅アンモニウム溶液に溶融することが発見され、1918年にドイツのベンベルグ社が緊張流下紡糸法により良質な繊維を製造することに成功したのでベンベルグとも呼ばれます。

スーツの裏地に使われることが多く、吸湿性、放湿性があり、静電気が起きにくく柔らかくしなやかで、ドレープ性がある。摩擦に弱く毛羽立ちやすい。

 

・リヨセル・・・新しい繊維で指定外繊維です。ユーカリ(木材)を特殊な溶剤で溶かして作られる(溶剤紡糸法と呼ぶ)再生繊維で、繊維の断面が円形であることから強度が高く、湿潤時の収縮や強度の低下が少ない繊維です。また、溶剤を回収して再利用するため、廃液が環境中に放出されず地球にも優しいエコロジカルな繊維でもあります。

指定外繊維には「テンセル」がありますが、「リヨセル」と「テンセル」は同じ繊維です。

リヨセルはオーストリアのレンチング社、テンセルは英国のコートルズ社の商標として使用されていましたが、2004年には両社合併し、ブランド名を「テンセル」、総称として「リヨセル」というようになりました。

 

ソフトな風合いと適度な光沢感があり、繊維が柔らかくドレープ性があります。吸湿性に富み、ハリ、コシ感、弾力性(反発性)があります。

摩擦により毛羽立ちや白化しやすく湿潤状態での摩擦は特に注意が必要です。濡れると風合いが固くなります。

 

再生繊維の特徴をまとめると下記になります。

 

・絹に似た風合い
・吸湿性がある
・水に濡れると強度が低下
・プリーツ性はない
・縮みやすい

 

洋服を購入する際、品質表示タグを見てみたくなりましたね。なるほど、この洋服にはこの繊維が使われているのか?と新たな視点で見る楽しみが増えますね。