リック・ルービンとの出会いは、80年代半ば以降にビースティ・ボーイズやRUN-D.M.C.をプロデュースしていた人物だと知ったことからだった
さらにDef Jam Recordingsの創設者だと
それまで自分には
「プロデューサーで音楽を聴く」
という感覚がほとんどなかった
音楽はアーティストのもの、プロデューサーは裏方、その程度の認識だった
それ以降、色んなプロデューサー単位で括って音楽を開拓するようになった
そしてリックがレッチリをプロデュースしたと聞き
極め付けはアデルまで!
この人は自分が欲している音楽を作り続ける人だと確信した
ジャンルは関係ない
ヒップホップ、ロック、ハードコア、カントリー
彼が関わると、とにかく惹きつけられる
リック・ルービンは、音を足す人ではない
正解を与える人でもない
余計なものを取り除き、その人の中にすでにあるものを浮かび上がらせる
彼が大事にしているのは、テクニックよりもクリエイティビティ
自分の内面と外面を、深く見つめること
そして、それを可能にする柔軟な思考
行き詰まったときの考え方についても、彼は著書で一つのヒントを示してくれた
仏教でいう「パパンチャ」という概念
事実に、感情や解釈が過剰に乗っていく状態
それが、判断を誤らせる
それに対して「ニパパンチャ」
感情が膨らむ手前で、事実のところで止める
余計な意味づけをしない
これは音楽だけの話ではない
仕事でも、人間関係でも、判断を誤るときは、だいたい感情が先に走っている
事実を見る
感情を否定せず、でも、その手前で一度立ち止まる
リック・ルービンがやっているのは、まさにそれだと思う
評価しない
決めつけない
その人が本来の音を出すまで、邪魔をしない
これは、すべての道に通じる創作活動の姿勢だと思っている
作るとは、何かを足すことではなく、本来の形に戻すこと
リック・ルービンを知ってから久しいが、深く知れば知るほど音楽の聴き方だけでなく、判断の仕方も変わってきた


