2026.03.06

フィラデルフィア

discoに行き始めたのは高校2年生くらいだった
最初はミナミの小さな箱
当時は身分証チェックも今ほど厳しくなく、背伸びした高校生でも入れる店がいくつかあった

やがて時代はバブルへ向かう
discoは大型化し、内装も音響も照明も豪華絢爛になり、
風営法の規制が入る前は、ほとんどの店が朝まで営業していた

浮かれた時代だったと思う
ただ、あの頃の空気が好きだという人は
自分も含めて今でも多い

バブル後期になると、大箱discoは少しずつ勢いを失い、
代わって主流になっていったのがクラブという空間だった

その頃によく通ったのが
JR福島駅西側の高架下にあった ダイナマイト
ニューヨークのアンダーグラウンドを
そのまま持ってきたような店だった

高架下の低い天井
重低音
音はハウス、ディープハウスが中心
往年の天宮志狼も回していた

バブル期の豪華なdiscoとはまったく違う
黒くてストリート

そしてもう一つ、忘れられない店がある
江坂の Philadelphia express session
通称フィラデルフィア

新御堂筋を北に向かい、江坂と緑地公園の中間あたりを左折したところ
水産会社の倉庫跡をリノベーションした店だった

平日はカフェ
週末はクラブ

床は倉庫時代のままのコンクリートの土間
飲み終わったコロナビールの瓶や割れたグラスが転がっている
カオスな空間だった

客層はさまざま
とにかく騒ぎたい人たちが集まっていた
大阪は狭い街なので、
感度の高い人間が自然と同じ場所に集まる

店は300人ほど入っただろうか
いつもギュウギュウで、入場規制がかかることも多かった

そして閉店間際、
フロアがラストに向かって最高潮に盛り上がる瞬間がある
その時に流れているのはポップめなR&Bのダンスチューン

Patti Austin  Do You Love ME
Hall & Oates  Private Eyes
The Weather Girls  Hallelujah Hurricane
Rick James  Give It To Me Baby

熱気と汗でフロアが揺れる

そのとき、天井からゆっくり降りてくるものがある
倉庫時代の名残の鉄のカゴの運搬用エレベーター

その中には、その日一番目立っていた女の子が入っている
誰が決めていたのかは分からない
ただ、いつもそうだった
たぶん皆、そこに入りたくて踊っていたのだと思う

無秩序なのに、お約束がある
危ないようで、不思議な安心感もある
あの光景がずっと脳裏に焼きついている

バブルも弾け、
いつの間にか足も遠のき、
気がついたら
「フィラデルフィアはもう閉まったらしい」と聞いた
少し侘しい気持ちになったのを覚えている

素性も国籍もわからない人が入り乱れていた

ただ、そこにいることが重要だった

今週もお疲れ様でした

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