昨日のブログで『紳助のテレビジャック』から越前屋俵太のことを書いた
あの番組には、まだプロボクサー時代の赤井英和が時々遊びに来ていた
中途半端なタレントでは太刀打ちできないほどのトーク力があった
後の俳優、タレントとして開花する資質を見せていた
その赤井英和の俳優デビュー作が『どついたるねん』である
阪本順治の監督デビュー作でもある
今や阪本順治は日本映画を代表する監督の一人になったが
自分にとっては、このデビュー作が最高傑作
おそらく100回近く観ている
落ち込んだ時、前に進めない時、この映画に何度も引き戻されたこの作品は、挫折した人間へのアンセムとして作用する
その中心にいるのが、原田芳雄演じる左島コーチだ
人生経験から滲み出る優しさ
言葉は多くないが、相手の底のほうにさりげなく寄り添う
原田芳雄という俳優は、プライベートもきっとそうなのであろうと想像できる、人生の敗者への優しい眼差しが宿っていた
芝居というより、生き方の陰影がそのまま映っているように見えた
あらためて、ご冥福をお祈りしたい
復帰戦の最中、安達は、頻繁に夢に出てくる背中の正体に気づく
それは幼い頃に自分にボクシングを教えてくれた、また父親代わりであった左島トレーナーの背中だったと知った瞬間、彼はつぶやく
「勝たなあかんな〜」
名台詞というには、あまりに力が抜けている
だが、その力の抜け方がいい
負けを知った人間が、それでもなお前に出る時にしか出てこない言葉である
エンディングもまた忘れがたい
詳しくは映画を観てほしい
「DON’T WORRY」が流れるあの終わり方まで含めて、この映画は完成している
勝利の物語ではない
敗北の淵から戻ってくる物語なのだと思う
だからこそ、傷んだ時に心に沁みる
自分にとって『どついたるねん』は、そういう一本である
今週もお疲れ様でした。

