リュック・ベッソン監督
初期の代表作
『グラン・ブルー』
ジャック・マイヨールの自伝をベースにした映画
この映画は、物語そのものももちろんだが、
地中海の景色と海の青さだけでも
十分に観る価値がある
ただ青いだけではなく
光の揺れや深さ
人間を拒むような静けさまで映っている
あの海を見ていると、
海の中に帰りたくなる人間がいるという話を
無理なく信じられる
エリック・セラの音楽も素晴らしい
映像の美しさに寄り添いながら、
この映画全体に漂う
夢と現実の境目のような世界観
洒落ていて、それでいてどこか寂しい
開放感と孤独感が同居する
そういう感触がラストまで続く
ラストシーンは、
女性にはあまり評判が良くないらしい
確かに、わかる気がする
残される側から見れば、
あまりにも身勝手な選択に映るだろう
それでも自分は、
あのラストが好きだ
彼は海を選んだ
愛や日常や社会よりも、
自分をもっと深いところで呼んでいるものの方へ
行ってしまった
それを未熟と言うこともできるし、
無責任と言うこともできる
でも人間の中には、
そういうふうにしか生きられない者がいる
うまく説明できない何かに呼ばれて、
そこへ向かうしかない人間がいる
『グラン・ブルー』は、
そういう人間の危うさと美しさを、
地中海の青の中に閉じ込めた映画だと思う
ロケ地のタオルミナには、
いつか行ってみたいと思っている
できれば、永住したいと思うくらい憧れている
自分の母親の生家は、
和歌山の海岸沿いの断崖の集落にあった
誰かがそこを
「日本のアマルフィ」
と言っていたが
それは、おこがまし過ぎる笑
しかし、もしかしたら自分の中にも、
海に戻りたいDNAのようなものが
あるのかもしれない
海の映画であり、
孤独の映画であり、
この世界に馴染みきれなかった人間の映画でもある
シチリアの海沿いの町に住むことを夢見て時々見返している

