昨日『グラン・ブルー』のことを書いていて、
『竜二』を思い出した
まったく違う映画のようでいて、
どこか通じるものがある
どちらも、
愛や日常の側へ行こうとしながら、
最後にはそこに留まれない男の話だ
やっぱり堅気にはなれない
本人がそれを悟るラストシーン
商店街の肉屋の特売に並ぶ奥さんの姿を見た瞬間
日常のあの何気ない風景が
竜二には遠かった
奥さんも何も言わない
けれど、引き返すその姿を見て、
全部悟ってしまった
あの無言が辛い
堅気の暮らしは正しい
家族を持ち、働き、日々を守る
それはまっとうなことだ
でも、正しいことと、
その人にできることは違う
人間の中には、
どうしてもそちら側に馴染みきれない者がいる
『グラン・ブルー』で海に呼ばれてしまう男がいたように、
『竜二』にもまた、
元の場所へ引き戻されてしまう男がいる
今年の10月には柳楽優弥主演で
『RYUJI 竜二』のリメイク版が公開される
正直、金子正次を超えるのはかなり難しいと思う
あの映画は演技だけではなく、
金子正次という存在そのものだから
当初、松田優作を主演に、と配給会社から提案があった
金子正次は、自分自身を主演に想定して脚本を書いていたから断った
もし松田優作が竜二を演じていたら、
『ブラック・レイン』の佐藤と並んで、
数少ない優作のヤクザ像として語られていたかもしれない
それはそれで、観てみたかった
金子正次の葬儀に優作の姿もあったらしいから、存在を認めていたのだろう
それでもやはり、
『竜二』は金子正次の映画なのだと思う
劇中では
現役の頃に吸っていた煙草はカルティエ、
堅気になってからはセブンスターだったと認識している
そういうディティールも、この映画の魅力
『竜二』は、
ヤクザの映画である以上に、
普通の幸せの前で立ち尽くしてしまう男の映画だ
エンドロールに流れるショーケンのララバイが
映画の世界観をギュッと凝縮してくれている

