2026.04.28

平場

Web会議ツールが、商談や面談の当たり前の手段になって久しい
さすがにオンライン飲み会は減ったと思うが、仕事におけるオンライン化は完全に定着した

確かに便利だ
移動時間は減る
遠方の相手ともすぐにつながれる
資料も共有しやすい
交通費もかからない
もう後戻りはできない

しかし、最近よく思う
オンラインでの商談ばかりしていると、こちらのキャラクターが伝わりにくい
雑談の寄り道もしにくい
交渉の隙間も作りにくい
商品やサービスに絶対的な差別化があれば、それでも成立するのだろう

オンラインは、基本的に「あらかじめ用意していること」を話すことに適している
横にもう一台PCを置いたり、死角でスマホを操作したり、情報を確認しながら商談や面談に臨むこともできる

ただ、それに慣れすぎると、「平場」に弱くなる

私はあえて、そう呼んでいる
バラエティ番組のフリートークのような、台本のない場
予定調和では進まない場
相手の表情、声のトーン、空気の揺れを見ながら、その場で言葉を選んでいく場

例えば、いつもナビに頼って運転していると、道を覚えない
自分の勘に頼って運転しないと街の構造はわからない
間違えた道、遠回りした道、たまたま見つけた抜け道
そういう経験が積み重なって、初めて土地勘になる
土地勘がある人は、ナビより良い道を知っている

商談や面談も、それに似ている
用意されたルートだけを進んでいると、迷わない代わりに、場の構造が見えにくくなる
対面の商談には、独特の余白がある
受付で待つ時間
名刺交換の間合い
本題に入る前の雑談
商談が終わった後の立ち話
帰りのエレベーター前で交わす挨拶

実は、その余白にこそ大事な情報がある

相手が何に困っているのか
どこまで本気なのか
何を言いにくそうにしているのか
こちらに対して、どのくらい期待してくれているのか
ホームページや資料には出てこないものが、平場には出る

面接も同じだ
用意された志望動機や自己PRだけでは、その人の本当の強さは見えにくい
むしろ、少し話が逸れた時に出る言葉
想定外の質問をした時の表情
緊張が少しほどけた瞬間の素の反応
そこに、その人らしさが出る

面接前の待機中にも、その人の一面が出ることがある
受付での振る舞い
待っている時の姿勢
案内してくれた人への反応
会話中の姿勢や足ぐせ、目線、相づちの打ち方
モニター越しでは、どうしても拾いきれない情報がある

ジャルジャルのYouTubeチャンネルに、非常識な体勢や姿勢でオンライン面接に臨むというコントがある
もちろんコントなので誇張されている
ただ、オンライン面接というものの怖さを、かなり的確に突いている

だからこそ、画面越しの印象だけで人を見ることには、一定の限界がある
遠方の面談や一次面接には非常に有効だと思うが、最終的には同じ空間にいてこそ伝わるものがある

人材ビジネスは、結局のところ人と人の仕事だ
スタッフ、クライアント、社内
三方に人がいる

だからこそ、予定された言葉だけでなく、予定されていない場面でどう振る舞えるかが大事になる
オンラインだけでは、お互いに発展的な関係になりにくい
積極的に会いに行くべきだと思う
相手の会社に伺い、同じ空間で話し、余白のある会話をする
そこから関係が深まっていくことは、間違いない

これは一方的な話ではない

自分が商談を受ける立場になって考えると、わざわざ会って話を聞きたいと思う相手は、正直かなり限られている
いくら対面が大事だと言っても、すべての商談に時間を割けるわけではない

距離感でいえば、

会う
オンライン
電話
メール

この順番で関係の濃淡が出る

自分が営業する立場になった時、電話やメールでしか対応していただけないクライアントとの関係は、まだまだなのだと思う
そこまでの関係を築けていないということだ

会いに行くこと自体が大事なのではない
会って話す価値があると思っていただけることが大事なのだ

そのためには、日頃の仕事の積み重ねしかない
レスポンスの速さ
約束を守ること
相手の事情を理解すること
困った時に逃げないこと
そして、会った時にオンライン、電話でのやり取り以上の何かを持っていけること

平場に強いというのは、単にその場でうまく話せるという意味ではない
相手に「この人とは会って話した方がいい」と思っていただけるだけの信頼を、普段から積み重ねているということでもある

そこに、仕事の面白さがある

積極的に会いに行く
そして、会ってもらえる人になる

結局、仕事も人間関係も、最後はそこに尽きる

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