今週から、毎週のように出張が続く
何年もこのパターンを繰り返していると、出張の準備もかなりルーティン化してくる
パッキング、というほど大げさなものでもない
必要なものを決まった順番でキャリーバッグに入れていく
昔なら、そこで必ず財布の中身を確認していた
現金、クレジットカード、運転免許証、ETCカード、交通機関のチケット
ところが最近は、財布の存在感が明らかに小さい
気がつくと、財布を一度も触らない日がある
実際、5年前に青森へ出張した時、私は財布を忘れたことがある
空港へ向かう電車はモバイルSuica
空港でのチェックイン、搭乗は航空会社のモバイルアプリ
青森に着いてから市街地へ向かう空港バスもモバイルSuica
イベントが午後からだったので、昼食はラーメン店に入り、支払いはPayPay
その後、イベントで使う資料をコピーしようとして、コンビニのマルチコピー機を利用しようとした時に財布を忘れたことに気づいた
現金しか使えないから
結局、イベント主催者の方に千円をお借りして、ことなきを得た
恥ずかしい話ではあるが
現代は、ここまで現金を使わずに過ごせる象徴的な出来事だった
しかも、それは5年前の話で、今なら、さらに進んでいるだろう
財布は、生活の中心から少しずつ脇役になっている
それは、ファッションの世界にも表れている
かつてハイブランドの財布といえば、長財布の存在感が大きかった
紙幣を折らずに入れられるサイズ
カードの容量が多いなど機能的な面もあったが
その存在感が重要だった
しかし、キャッシュレス化が進めば、財布に求められる役割も変わる
財布は、支払いの主役ではなく、非常時の控えになった
そうなれば、長財布からコンパクト財布へと売れ筋が移っていくのも自然な流れ
実際、現金よりもスマホの充電がないほうが不安という人は多い
ただ、便利になりすぎると、人は自分が何を持っていないのかにも気づかなくなる
財布を忘れて青森まで行けてしまった私は、まさにその証拠
コンビニのコピー機の前で、突然、現実に引き戻されることがある
その時に必要なのは、最新の決済アプリではなかった
「すみません、千円貸していただけませんか」
そう言える相手だった
結局、最後に頼りになるのは、キャッシュレスではなく、人である
それにしてもコンビニのマルチコピー機はいつキャッシュレスになるのかな?

