栃木強盗殺人の続報に明け暮れた一週間だった
指示役とみられる男は羽田空港から海外へ出国する直前に身柄を確保されたという
韓国経由でどこへ向かおうとしていたのか
報道を見ながら、トクリュウの拠点があるとされるカンボジアあたりを想像してしまった
カンボジアといえば
自分にとってはキリングフィールドである
最初に観てから40年近く経っている
ポル・ポト統治下のカンボジアの狂気への衝撃が今も忘れられない
最近は観たい旧作に限ってサブスクにない
行きつけのTSUTAYAもDVDレンタルを辞めているし、Blu-rayを買うしかないか
キリングフィールドはアカデミー賞3部門を受賞した硬派な不朽の名作であるが
いま簡単に観られないことに少し驚く
冷戦の地政学的状況下でカンボジアはベトナムとの武力衝突と内戦に巻き込まれていく
ポル・ポト政権下では正確な数がわからないほどの庶民や知識層が殺害された
知識がある、眼鏡をかけている、外国語がわかる、都市に住んでいた
そんなことまでもが命を奪われる理由になった
国家が壊れるとはこういうことなのだ
国を支える層が徹底的に破壊された国がもう一度国家を再建するには当然ながら長い時間がかかる
そこに国外からの資金が入り、外国人が入り、
開発と投資の名のもとに得体の知れないビジネスも流れ込む
本来なら誰が金を出しているのか?誰が運営しているのか?どんな人間が出入りしているのか?
国家が厳しくチェックしなければならない
しかし歴史的に統治機能が傷ついた国では、そこに隙が生まれやすい
だからこそカンボジアのような場所に周辺国の犯罪組織や反社会的勢力が入り込みやすくなる
これはカンボジアだけを責める話ではない
国家が壊れるということは何十年経っても別の形で社会に影を落とすということなのだと思う
主演はアメドラ好きにはお馴染み
LAW & ORDERのジャック検事役
サム・ウォーターストン
そしてこの作品でアカデミー助演男優賞に輝いたハイン・S・ニョールは
実際にポル・ポト政権下で迫害されたカンボジア人医師だった
究極のリアリズム
監督は後にミッションでもアカデミー撮影賞を受賞する
ローランド・ジョフィ
この監督は作品数が多くない
まだ存命中だが長編映画は思ったほど撮っていない
何故だろう?
もっと撮ってほしかった監督である
ただキリングフィールドとミッション
この2本だけでも
ローランド・ジョフィの名前は映画史に残る
それにしても世界は進歩しているようで
まったく進歩していないようにも見える
匿名で人を動かし、若者を実行役にし、金のために人の命を奪わせる
その構造を見ると遠い国の内戦や独裁の話ではなく
いまの日本の足元にも小さなキリングフィールドが口を開けているような気がした
国家を不安定にしてはいけない
それがキリングフィールドを思い出して改めて感じたことだった
独裁も内戦も外部勢力の思惑も恐ろしい
しかし本当に恐ろしいのは国家の土台が壊れたあともその影響が何十年にもわたって続くことだ
だから、国家を壊してはいけない
社会を壊してはいけない
不安定な国を作ってはいけない
現在、混乱している国家の未来もそこに見えている気がする
先進国や大国の責任は重い
地政学の都合で小さな国を揺さぶる
資源や市場や軍事上の利益のために他国の混乱を利用する
その結果として国家が壊れれば苦しむのはまずその国の庶民である
しかしそれで終わらない
壊れた国家から生まれた歪みは必ず国境を越えて戻ってくる
結局は自国にツケが回ってくる
カンボジアのキリングフィールドは過去の悲劇ではない
国家を壊すということの恐ろしさを今も世界に問い続けている
今週もお疲れ様でした。
良い週末を!

