今日は青森にいる
青森港の手前の市街地に宿泊している
昭和の青森はフェリーで北海道に渡る前の宿泊地として賑わっていた
それが1988年の青函トンネル開通で通過する街になってしまった
毎年来ているが寂れぶりは相当なものだ
近年は市の中心部にあった地方百貨店も閉店し県庁所在地なのに百貨店がない
夜も早く、この界隈は言葉は悪いが場末のスナックが点在しているくらいである
ただその雰囲気が嫌いではない
もともとマイナー志向なのでむしろ落ち着く
寂れた街に雨が降ると妙に人恋しくなる
今日も雨の曲について書く
小泉今日子の「優しい雨」
鈴木祥子作曲
小泉今日子作詞
キョンキョンの楽曲の中でも一番好きな曲である
緒形直人とキョンキョンが主演したドラマ『愛するということ』の主題歌だった
いわゆる略奪系の恋愛ドラマではあるが、ドロドロしていない
むしろ純愛に近かった
好きになってはいけない人を好きになる
それでも気持ちは止められない
それを上手く曲に表現している
この曲の歌詞を聴いて
キョンキョンは作詞の才能があると思った
凝った言葉を並べるわけではなく、むしろ平易な言葉が多い
それなのに心に残る、動かされる
「運命だなんて口にするのなら抱きしめて連れ去ってよ」
「運命」という美しい言葉を使うなら、それに見合う覚悟を見せてほしい
そんな切実さが一行に凝縮されている
「雨が止む前に抱きしめ合えたら、あなたについてゆく
始まってしまったから…」
恋愛は始めるものではなく、始まってしまうものなのだ
頭では駄目だとわかっていても、気がつけば後戻りできなくなっている
その感覚をこれほど短い言葉で表現できるのは凄い
一度聞いたら忘れられない
こういう言葉は机に向かって考えても出てこない
リアルな恋愛、それも人を深く好きになり
傷つき、傷つけ
それでも求めてしまうような
激しい恋愛を経験していなければ書けない言葉だと思う
後年のインタビューなどを読むと、キョンキョンはかなりの読書家らしい
この曲を書いた当時はどうだったのかわからないが、たくさんの本を読み、たくさんの人生に触れてきた人だからこそ
ああいう言葉が出てくるのだろう
作詞家は言葉を知っているだけでは駄目だ
人を知っていなければならない
だからこの曲は嘘っぽくない
言葉というものは、聞きかじりやAIに頼らず、自分の体験から何度も試行錯誤して捻り出さねばならない

