2026.07.02

少年

7月になった
梅雨明けはまだだが夏に入った

夏には思い入れの大きい曲が多い
GEISHA GIRLSの『少年』も、その一つ

GEISHA GIRLSはダウンタウンが教授(坂本龍一)とノリで作ったユニット
往年のダウンタウンのネタの数々を当時の最先端のミュージシャンをたずさえて楽曲にしたアルバムを出した
もちろん、それを目的に聴き、期待通りに笑わせてもらったが、『少年』だけは、毛色が違った

冒頭の野球場の情景だけで、夏の夜の空気が一気に立ち上がる
ナイターの照明
球場の上だけがぼんやり明るい夜空
遠くから聞こえる歓声
その外側にいる少年

二人の地元である尼崎から近い、今はなき西宮球場なのか
それとも甲子園球場なのか
そんなことを想像してしまう

夏休みに父親と何度か球場に足を運んだのだろうか
楽しかった記憶なのに、なぜか寂しい
その感じが、この曲にはある

17歳のままでいられたらいいのに、という感覚もよくわかる
人生には、あの時のままで止まっていればよかったと思う瞬間がある
もちろん本当に戻りたいわけではない
戻ったところで、また同じように傷つき、同じように迷うのだろう

それでも、あの頃にしかなかった感受性がある
何でもない風景に過剰に反応し
少しの屈辱や悔しさで、世界の終わりのような気持ちになる
この曲で一番刺さるのは、そこだ

誰にも振り向かれない街で
夢を見ることさえできず
それでも日々だけは過ぎていく

自分のmiddle teens時代そのままだと思った

作詞は売野雅勇氏
あの時代の少年の寂しさを、よくここまで書けるものだと思う
誰しも、そういう時代を通ってきたのだろうか
それとも、経験がなくても想像力だけで書けるのだろうか
もし後者なら凄い

売野氏は、カルロス・トシキ&オメガトライブの『アクアマリンのままでいて』の作詞もしている
あの曲も最高

都会的で、やや軽薄で、どこか切ない
80年代後半の雰囲気を知らない人に説明するなら、この曲をかければ良い

『少年』の作曲は教授
サイモン&ガーファンクルの『The Boxer』を思わせるような、牧歌的で美しいメロディである
そこに当時のグラウンドビートの感覚を重ね、ミディアムテンポのダンスチューンとして成立させている

ダウンタウン
売野雅勇
坂本龍一

この組み合わせで、なぜこんなに寂しい夏の曲が生まれたのか
天才達の感性が合わさった結果か
30年以上聴き続けて、ますます好きになっている

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