TUBEの『シーズン・イン・ザ・サン』に、Special Remixed Seaside Versionというバージョンがある
1986年に12インチシングルとして発売された、7分半を超えるロングバージョンである
CDも未発売、当然サブスク配信もない
文末にYouTubeを埋め込んだので、ぜひ聴いて欲しい
自分はTUBEの音楽をそれほど高く評価しているわけではない
しかし、このバージョンだけは別である
J-POPダンスミュージックの金字塔だと思っている
実際に当時のディスコではラスト近くでよくプレイされていた
極端に言えば、この一曲を残しただけでもTUBEには存在価値がある(これを言うとTUBEファンから怒られる、、笑)
シングルバージョンの『シーズン・イン・ザ・サン』とは印象がまったく違っていて
イントロは長いパーカッションから始まる
コンガを思わせるラテン系のリズムが続き、少しずつ音が重なっていく
すぐに歌を聴かせようとしない
当時流行していた12インチのダンスミックスらしく、DJが前の曲からつなげやすい構成になっている
そこにギターが入り、ラテンフレイバーが強まる
そして、ようやく聞き慣れた『シーズン・イン・ザ・サン』のメロディーが現れる
原曲は、真夏の太陽の下で聴くような曲である
そんなTUBEらしい夏のイメージが前面に出ている
ところがSpecial Remixed Seaside Versionは
ビートとパーカッションが前に出たことで、真昼の海ではなく、夕方の海のように聞こえる
一日中遊んだ後、まだ身体に昼間の熱が残っている
太陽が少しずつ傾いていく
海から風が吹いてくる
ビールでも飲みながら、もう少しここにいたいと思う
そんな雰囲気を出している
夏が終わっていく切なさがある
しかし、湿っぽくない
悲しい夏だったからではない
きっと、良い夏だったからだ
自分にとって、この曲には忘れられない夏の記憶がある
大学2年生の夏
学生ツアーのスタッフとして沖縄に駐在していた
自分が担当していたのはビーチサイドだった
当時、ビーチサイドの宿泊客に販売するメインのオプショナルツアーの一つが、コザにオープンしたばかりのディスコ「ピラミッド」だった
いわゆるリゾートディスコではない
東京や大阪にあった大箱のディスコを、そのまま沖縄に持ってきたような豪華な内装のお店だった
自分は毎晩のように宿泊客を連れてピラミッドへ行っていた
ある日、会社の企画で万座ビーチでライブを終えたTUBEをピラミッドに招くことになった
当時のTUBEは、すでにトップスター
ところが店に現れたボーカルの前田氏の足元を見ると、ビーサンだった
ピラミッドにはドレスコードがあった
「ビーサン禁止」
トップスターだろうが関係ない
店側は入場を認めなかった
仕方がないので、自分が履いていたスニーカーを前田氏に貸した
自分のスニーカーを履いた前田氏は無事入店することができた
(スニーカーを貸した自分はどうやって入店したのか覚えてない笑)今となっては微笑ましい、良い思い出である
その夜のラストに流れたのが『シーズン・イン・ザ・サン』だった
TUBEのメンバーも、スタッフも、ツアー客も、そこにいた人たちがみんな踊った
大学2年生、沖縄、鬱屈とした10代から解き放たれた自分
旅行会社のハードワーク、毎日のビーチ、毎晩のディスコ
昼夜関係なく仕事にも遊びにも熱中していた日々
毎日が忙しく、毎日が楽しかった
明日もまた同じような一日が来ると思っていた
しかし、夏は必ず終わる
Special Remixed Seaside Versionを聴くたびに、あの頃を思い出す
7分半という長さもいい
すぐには終わらない
パーカッションが鳴り続け、ビートが続き、まだ踊っていられる
楽しかった時間が終わりに近づいていることはわかっている
それでも、もう少しだけ続いてほしい
Stop the season the sun
夏よ逃げないでくれ
もう少しこのままでいたいのさ
この夏が終わらないでほしい
この場所にもう少しいたい
この仲間たちともう少し遊んでいたい
そして何より、この若さの中にもう少しいたい
何歳になっても自分にとって『シーズン・イン・ザ・サン Special Remixed Seaside Version』は、そんな曲である

