バブル期の大阪ミナミに「ディナスティ」というクラブディスコがあった
ユーロビート全盛の時代
そんな中でディナスティはブラックミュージックを主体にした選曲で、他のディスコとは一線を画していた
そこにチャーリー木津川さんというトップDJがいた
選曲もさることながら、落ち着いた聴き取りやすい声
MCも上手かった
学生だった自分にとって憧れのDJ
当時、大学や短大の学園祭ではダンスパーティがよく開催されていて、自分も下手くそながら、請われて学園祭のダンスパーティで何度かDJをやったことがある
お手本探しに他の学園祭のダンスパーティをよく見に行った
ある大学の学園祭に行くと、DJとして招聘されていたのが、なんとディナスティの木津川さんだった
現場さながらの選曲とミックス
体育館は大盛り上がりだった
やっぱり凄い
そしてイベントが終盤に近づくと、驚きの選曲
普段のディナスティではまず聴くことのない邦楽
それも角松敏生やアン・ルイスといった、当時ディスコでも定番だった曲ではなく
オリコンのチャートに入る普通のヒット曲
それが盛り上がるから、凄い
そしてラストは
プリンセス プリンセスの
『世界でいちばん熱い夏』
イントロが流れた瞬間、体育館の空気が変わった
みんなが歌いながら縦乗りで踊る
会場を見ると、何人かの学生が号泣していた
周りの仲間たちが肩を叩いて労っている
おそらく学園祭を運営していた学生たちだったのだろう
この日のために夏休みの間、みんなで準備してきた
大変なこともあっただろうし、
揉めたこともあったかもしれない
そして迎えた本番
体育館は満員になり、みんなが踊っている
その最後に流れる
『世界でいちばん熱い夏』
自分も感動しながら唸った
これがプロのDJだと思った
DJは自分の好きな曲を聴かせる仕事ではない
その場の空気を読み、その瞬間、そこにいる人たちが一番欲しい曲を選ぶ
ブラックミュージックを知り尽くした木津川さんが、最後に選んだのはプリンセス プリンセスだった
学園祭を作ってきた学生たちの夏を総括し、それでいて会場にいる全員が盛り上がれる曲
あの瞬間は、この曲しかなかったと思う
それから何十年も経った数年前
帰阪すると必ず立ち寄る神戸のバー「ゴスペル」で、木津川さんと親しい音楽プロデューサーと知り合った
学生時代、木津川さんに憧れていたという話をすると、その場で電話をかけてくれた
突然、憧れの人と電話で話すことになった
緊張した
現在はFM大阪で編成の仕事をされているとのことだった
ほんの短い会話だったが、「あの声だった」
学生時代の自分に教えてやりたい
何十年か後、お前は木津川さんと話すぞ、と
あの体育館で聴いた『世界でいちばん熱い夏』を思い出すと今でもジーンとくる
曲には、その場でしか生まれない意味がある
またいつか
木津川さんのDJで踊りたい
今週もお疲れ様でした。
良い週末を!

