2026.09.07

キャンセル界隈

Z世代の社員と話していると、「風呂キャン」という言葉が出てきた

風呂に入るのが嫌いなわけではない
入った後は気持ちがいいことも知っている
ただ、服を脱ぎ、身体や髪を洗い、髪を乾かす
そこまでのプロセスが面倒臭いので、風呂そのものをキャンセルする

最近は「飯キャン」という言葉もあるらしい
食事を用意し、食べ、片づけることが面倒臭い
腹は減っているが、食事そのものをキャンセルする
道理でマックを高い手数料を払ってUber Eatsで頼むはずだ

何かを始めるまでの面倒臭さに負けて、行為そのものをやめてしまう人たちを「キャンセル界隈」と呼ぶらしい
風呂が面倒臭い
飯を食うのも面倒臭い
もはや、生き物としての本能までキャンセルし始めている

それなら、仕事をするのが面倒臭いのは当然だろう
求人を探し、履歴書を書き、応募し、面接を受ける
仕事を始めれば、決まった時間に起き、人と関わり、嫌なことも引き受けなければならない
そのプロセスを考えただけで、仕事探しまでキャンセルする
失業者ですらない、仕事を探していない無業者が増えていく

もちろん、働けない事情を抱えている人もいる
心や身体の不調、家族の介護、子育て、過去の挫折
働いていない人を、すべて怠け者の一言で片づけてはいけない
しかし、面倒臭いという理由だけで、仕事を探すことまでキャンセルする人が増えれば、日本の労働力はさらに減っていく

一方、日本では人手不足を補うため、多くの外国人が働いている
慣れない日本語を覚え、家族や故郷を離れ、日本へやって来る
働き、税金や社会保険料を納め、私たちの生活や産業を支えてくれている

ところが、今年10月から、外国人が日本に永住するための許可手数料は、現在の1万円から20万円へ引き上げられる
一気に20倍である
働くことまでキャンセルする日本人が増える一方で、外国人には人手不足を補うために働いてほしいと言う
しかし、日本の雇用や社会に貢献してくれている人が、日本で暮らし続けるための負担は重くする
ずいぶん身勝手な話である

風呂に入るまでのプロセスは面倒臭い
それでも、入った後は気持ちがいい
食事を用意するのは面倒臭い
それでも、腹が減った時に食べる飯はうまい
仕事を探すのも、毎日働くのも面倒臭い
理不尽なこともあるし、疲れることもある
それでも、身体を動かして働いた後の疲れは悪くない
何より、自分の仕事が誰かの役に立った日の疲れは心地よい

面倒臭さの向こう側にしかないものがある

生きる実感を取り戻せ

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