Google傘下の自動運転開発会社Waymoが、日本交通、タクシー配車アプリのGOと組み、2027年に東京で完全無人の自動運転タクシーを始める計画を発表した
当初は少数の車両から始め、将来的には約100台まで拡大するという
日本で初めて、運転席に誰もいないタクシーが街を走ることになる
Waymoは2025年から、港区、新宿区、渋谷区など都内7区で走行データを集めてきた
東京には狭い道路が多い
自転車や歩行者も多く、路上駐車もある
世界でも自動運転の難易度が高い街
その東京で実用化されれば、自動運転は一気に現実のものになるだろう
背景にあるのは、深刻なタクシードライバー不足である
日本では人口が減り、働く人も減っている
特にタクシー、バス、トラックなど、人の移動や物流を支えるドライバー不足は深刻になっている
人手不足を、人を採用することではなく、人を必要としないことで解決する時代が始まった
もちろん、自動運転には大きな可能性がある
高齢者や障害のある人、車を運転できない人も自由に移動できる
地方でタクシーやバスが減っている問題にも、ひとつの答えになるかもしれない
人間の運転による事故や、飲酒運転、過労運転も減らせる可能性がある
技術の進歩を感情だけで否定するつもりはない
それでも、運転席から人が消えることに、少し寂しさを感じる
10年ほど前、帰阪した時に梅田でタクシーを拾った
ドライバーは80歳を超えていた
定年は過ぎたが、会社からは健康であれば、いつまでも運転してよいと言われているらしい
自分が「元気ですねー」と声をかけると
視力は1.2
耳も遠くない
と言う
「どこも悪くないんですか?」とさらに聞くと
「○○(自主規制)だけあかん」と言い放った笑
信号が青に変わるたびに、
「行けー!」
と自分に号令をかけて発進する
平日の真っ昼間から下ネタ全開の、元気な老人ドライバーだった
目的地に着くまで、ずっと笑わせてもらった
同時に、タクシーの付加価値は、こういうところにもあるのだと感じた
タクシーの役割は、人を目的地まで運ぶこと
それだけなら、無人でも構わない
余計なことを話さない方が、快適な人もいるだろう
しかし、10年経っても、あの運転手は鮮明に覚えている
今でも思い出すと笑いが込み上げてくる
どこから乗り、目的地がどこだったのか
料金がいくらだったのか
そんなことは何ひとつ覚えていない
覚えているのは、80歳を超えても元気にハンドルを握り、青信号になるたびに「行けー!」と叫んでいた、一人の老人の姿である
便利さと引き換えに、街からまたひとつ、名もなき名物ドライバーが消えてゆく
人がいなくても成立する社会は、味気ないと思う

