ビール大手4社に、カルテルの疑いで公正取引委員会の調査が入った
卸売業者への出荷価格を、各社で調整していた疑いがあるらしい
まだ調査の段階であり、違反が確定したわけではない
今年6月には、自分が身を置く人材派遣業界でも、大手5社が派遣料金を巡るカルテルの疑いで立ち入り検査を受けた
難しい問題だと思う
派遣スタッフの賃金を上げるには、その原資となる派遣料金を上げなければならない
業界としても、派遣スタッフの待遇改善に向けて、派遣先企業に価格交渉への協力を呼びかけている
政府も賃上げを促し、公正取引委員会自身が、労務費を適切に価格へ転嫁するよう求めている
一方で、競合する会社同士が価格を申し合わせれば、カルテルとして問題になる
各社が自分で判断して値上げすることと、相談して価格を揃えることは違う
同じ時期に値上げしたというだけで、カルテルになるわけではない
理屈はわかる
ただ、現場で賃上げに取り組む側からすると、簡単な話ではない
一社が料金を上げれば、もっと安い会社へ切り替えられることもある
安さを競い続けた先で、働く人の賃金が置き去りになるなら、それも健全な競争とは思えない
もっとも、今回の派遣業界の報道では、料金の引き上げがスタッフの賃金に十分反映されず、会社の利益に回っていた疑いも指摘されている
それなら話は別だ
「働く人のため」という説明と、実際に誰が恩恵を受けたのかは、分けて考える必要がある
メーカーにも、従業員の待遇を改善するために商品の値上げが必要な場面はある
原材料費も物流費も人件費も上がれば、各社が同じ頃に値上げへ動くこともあるだろう
値上げそのものを「けしからん」と片付けてしまえば、賃上げの原資まで否定することになる
カルテル規制は、競争を守り、消費者や取引先が不当に高い負担を負わされないためにある
その消費者も、職場に戻れば賃上げを必要とする労働者だ
買う時には安くあってほしい
働く時には高く払ってほしい
同じ人の中に、その両方がある
そして、税金や社会保険料、年金保険料、最低賃金については、公的な制度の中で負担や基準が決められる
民間企業や生活者が、個別の交渉で変えられるものではない
法律上のカルテルとは違う
それでも、負担する側から見れば、巨大な「公的カルテル」のように感じることはある
民間には競争を求める
公が決めた負担は、競争にも交渉にもさらされない
賃上げを求められ、価格は抑えるよう求められ、公的な負担も背負う
その間で、企業はどうやって働く人の暮らしを良くしていくのか
カルテルを認めれば解決する、という話ではない
ただ、カルテルは悪い、と言うだけでは残ってしまう問題がある
やはり、難しい問題だ
今週もお疲れ様でした。
良い連休を!

